2013年12月31日火曜日

「チョコレート」でプリントした顔型はいかが? 

チョコレート好きには吉報かもしれない。エクセター大学の研究者が起業したスタートアップ Choc Edge は、風変わりな 3Dプリント サービスを提供している。顔写真から「顔型」をチョコレートで再現する、「チョコレート プリンティング」だ。同社宛てに顔写真を送れば、ダーク / ミルク / ホワイトチョコレートから3次元の顔型をプリントアウトしてもらえる。このチョコレート「顔型」プリントサービスの価格は 50-80英国ポンド。

「チョコレートはみんなが大好きな食品だから、これを一般消費者でも簡単に加工できないかいろいろ試してきた」と、創業者 Liang Hao 博士。Hao 博士のエンジニアチームは、3Dプリントをチョコレートに応用する手法を同大学においてはじめて開発した。

チョコレートは粘度と温度条件の適正な管理が求められるため、扱いにくい食材だ。チョコレートの立体造形は、まずいったん液状に溶かしたチョコレートを適正温度まで下げ( テンパリング )、厚さ 0.05mm の平滑な横断面状に支持台に押し出して造形する。他の食品、ケーキスポンジ上にも押し出して成形することもできる。この方法だと、高価な成形型がなくても複雑かつ芸術的な造形が可能になり、この点で従来方式よりすぐれているという。

Choc Edge の開発したチョコレート専用 3Dプリンター「Choc Creator V1」は、2,888GBP で販売されている。いずれは消費者が近所のチョコレートショップでもオリジナルデザインのチョコレート プリントができるようにしたいと考えている、と Hao 博士。

下は、Choc Edge で出力したチョコレートの「雪の結晶」。


2013年12月24日火曜日

真の「パーソナルな」3Dプリンターを志向する「Robox」

1990年代、教育現場にカラフルな「iMac G3」が導入されると、たちまち子どもたちは夢中になった。小型家電などの設計開発を行う英国ブリストルの C Enterprise Limited ( CEL )は、「3Dプリンター版 iMac」を目指した新製品「Robox」を2014年第2四半期にも市場に投入する計画だ。販売価格は 1,400 米ドル未満に抑えるという。
現在、3Dプリンターは先を争うように新製品が次々と市場に投入され、iMac G3 が登場した頃と似たような段階に差しかかっている。「Robox」はこのほど Kickstarter での資金調達の 45万ドルという目標額を達成したが、そのデザインは、かつての iMac G3 を彷彿とさせるような鮮やかなブルーやグリーンで彩られている。
「3Dプリンティングは教育現場やエンジニアたちといった、専門のギークたちのもの、というのが現状だと思う。われわれの夢は、3Dプリンターを全家庭に普及させることだ。高性能で扱いやすい 3Dプリンターを作り、それをすべての家庭にもたらすことができれば … そのプリンターは、Robox かもしれない」と CEO の Chris Elsworthy 氏。
「Robox」には独立した動作をするヘッドが2基搭載されている。ひとつは精密加工用で、残るひとつは高速加工用だ。Elsworthy 氏によると、現行製品で3時間はかかる造形も、「Robox」なら1-2時間くらいで完了するという。
また、「Robox」は高品質仕上げの際に妨げとなる余分な溶融樹脂をいっさい排出せず、しかもプリントヘッドは交換式で、用途によってドリル、レーザーカッター、3Dスキャナー、ケーキのアイシング用絞り口まで取り付け可能だという。

2013年12月23日月曜日

学生たちが自作した「最安」3Dプリンター、Deltaprintr

ニューヨーク州立大学( SUNY )パーチェス校工学部の学生 Shai Schechter 氏とその友人たちは、最も安価な組み立て式 3Dプリンターを自分たちの手で生産しようとしている。

同氏によれば、Deltaprintr と命名されたそのプリンターが誕生したそもそものきっかけは、「大学には光造形と粉末造形の 3Dプリンターがあるにはあったけれども、バケツ一杯分のプラスター粉末だけでも 500ドルはかかり、2回ほどで使い切ってしまう。だからプリンターを使用するカリキュラムもほとんどなかった」。

そこで Schechter 氏は新しい 3Dプリンターを自作することを思い立ち、彫刻を教える教授に助言を求めた。試作機では使用素材をプラスター粉末から樹脂に変更し、3人の仲の良い友人に協力を仰いだ。

彼らはこの企画を Kickstarter プロジェクトとして立ち上げ、わずか1週間で資金調達目標額をほぼ達成するほど。価格はユーザー自身が組み立るキットタイプが 475ドル、完成品タイプが 685ドルと破格の安さが最大の特徴だ。

Deltaprintr はその外観もユニークだ。造形ヘッド( エクストルーダー )は3本の交換可能なレール上を3つのステッピングモーター制御で移動するアームの先端に取り付けられており、アームを固定するのは MakerBot のようなベルトではなく「釣り糸( 65lb Spectra fishing line )」なので、背の高いオブジェクトを造形したいときはレールごと取り換えることも可能。現在のバージョンは高さ2フィートと 2.5 フィート( 約 76 cm )の2種類が用意されている。既製の 3Dプリンターと比べ、Deltaprintr はひじょうにシンプルな構造のため、価格も大幅に低くすることがだきたという。最小積層ピッチは 100 μm 。

「これは教育機関での導入を考えて作られている。ユーザー自らプリンターを組み立てることで、3Dプリンティング技術がどういうものなのか、その原理を体感できる。ほんとうの意味でプリンターを扱えるようにしてもらいたいので、Kickstarter 上でも組み立てマニュアルを用意してある」と Schechter 氏。

現時点では Deltaprintr は教育機関向けツールという位置づけだが、将来的には量販も視野に入れている。

「いま、様々なアイディアが豊富にあり、来年にはそれらを製品化していく計画だ。Dltaprintr はさらに使いやすく、価格ももっと安くできるだろう」。

2013年12月16日月曜日

スペインのベンチャーが開発した低価格 3Dフードプリンター

NASA も出資したことで一時、話題になった「食品出力用 3Dプリンター」だが、予想以上に早く一般家庭にも普及することになるのかもしれない。

スペイン・バルセロナのベンチャー Natural Machines はこのほど、低価格帯の 3Dフードプリンター「Foodini」の試作機を公開した。価格は 1,360 米ドル前後を予定しており、2014年夏の出荷開始を目指す。

同社によれば、「Foodini」はプラグ・アンド・プレイ対応なので梱包を解いてすぐ使える。操作は機器前面のタッチスクリーンで行い、あとはミキサーやフードプロセッサーなどであらかじめ下ごしらえした新鮮な食材を用意し、それを「Foodini」のカプセルに装填するだけ。あとはすべて「Foodini」任せで食品がプリントアウトされるのを待つだけでいい。ただし食品によって、たとえばラヴィオリやピザの場合はプリントアウト後に加熱調理する必要がある。

現時点では改善点がまだ多く存在するとはいえ、同社共同創業者 Lynette Kucsma 氏は次のように語った。「何かを一から調理するには時間がかかったり、作業が難しかったりする部分がありますが、そんな面倒な部分はすべて Foodini が肩代わりしてくれます。レシピはご自分で用意することも、当方のサイト上で公開されるレシピを選ぶこともできます。あとは新鮮な食材を用意していただき、それをプリンターに入れるだけです。わたしたちが目指すのは、料理における反復作業を省き、なおかつ健康的な食品をご家庭で作っていただくことです」。

Lynette 氏によれば、Foodini 用サンプルレシピには動物の形をしたヒヨリ豆ナゲットや、恐竜型のほうれん草キッシュなどが用意されるという。




2013年12月15日日曜日

インドの天才高校生が作った 3Dプリンター

インド在住 Angad Daryani はわずか 8歳にして最初の人間型ロボットを製作し、13歳のときにはオープンソースで提供されている 3Dプリンター DIY キット、RepRap で最初の 3Dプリンターを作った。現在 15歳の彼は、「SharkBot」と名けた改良版 RepRap 3Dプリンターを、インド国内にいる彼のような「メイカー」たちに販売する計画だという。実現すればインド初の「国産」3Dプリンターになる。「SharkBot」は金属以外のすべての素材で造形可能で、試作品の1つはムンバイのインド工科大学でも使用されている。

Daryani 君によれば、YouTube を見て遠隔操作型ホバークラフトの作り方を学んだ時点で、「学校で教わることなんて何もない」と感じ、中退したという。彼は考案したものすべてをオープンソースとして提供し、だれでも自由に複製したり改作したりできるようにしている。また彼は自ら開発した製品をインドのカラーム元大統領に披露したこともある。

「僕は高校生ですが、正直言って、教室の外で学んだことが9割です。僕にとって、インターネットが第2の学校なんです。ネットを通じて、ものすごい量の知識を得ました。おかげで僕はメイカーとしてここまで来られたんだと思います」。

また、Daryani 君は盲人用の電子書籍リーダー「The Virtual Brailler」も開発した。こちらはテキストをスキャンしながら自動的に点訳するというすぐれものだ。

2013年12月9日月曜日

クリスマスギフトに 3Dプリントアウトした「球体ギア」はいかが ? 

ニューヨークに本拠を置くデザイナー グループ Proxy Design Studio はこのほど、「Mechaneu v1」と題したユニークな 3Dプリントアウト作品を Shapeways 上で公開した。

同グループは、自然界に見られる現象を手本にした幾何学デザインを作り出せるソフトウェアを独自に開発した。これを応用して作られた「Mechaneu v1」は、従来の工法では製作不可能だった、複雑に組み合わさる連動歯車機構からなる球体オブジェクトだ。

「自然界では形状を生み出す過程において、多くの問題が解決される。材料は必要な部分にのみ使われ、不要な部分は取り除かれる。この一般的な自然の法則は、たとえば骨などに見られる複雑な幾何学構造も生み出している。われわれはこの自然界と同じ理屈を用いて「Mechaneu」のすべてのパーツを作り、多孔質だが中身の詰まった感触を与えるオブジェクトを造形した」と、同グループのデザイナー Toru Hasegawa 氏は語る

「Mechaneu v1」は先進的 3Dモデリング ツールとカスタマイズされたアルゴリズムを使って、3Dプリンターで1回の製造工程で製作された。アルゴリズムのモデルになったのは、細胞増殖におけるパターンだ。一個の歯車の動きが他のすべての歯車へと波及し、球体そのものが互いに回転しあう歯車になる。



2013年12月8日日曜日

「安くて自作可能な」金属 3Dプリンターの開発が進行中


産業用 3Dプリンターで造形可能な素材と言えば、これまでは光硬化ポリマーなどが主流だったが、いずれはオープンソースを最大限活用して、だれでも「金属製品が造形可能な」3Dプリンターが自作できる世の中が来るかもしれない。

ミシガン工科大学( MTU )材料工学および電気・コンピュータ工学准教授  Joshua Pearce 氏らの研究チームは、この「金属製品が出力できる安価な自作 3Dプリンター」の開発に取り組んでいる。

「まだ開発途上なので、現時点で造形可能なのはスプロケットくらいのもの。でも RepRap プロジェクトのように、製造業界が肩入れすれば急激に進化するはず。ひと月も経たないうちに、われわれのよりさらにすぐれたプリンターを作る人が間違いなく出てくる」。

市販の可搬式 MIG溶接機やオープンソースのマイクロコントローラーなどを使用して組み立てた金属 3Dプリンターにかかる材料費は 1500ドル以下。一般的な金属加工用の積層造形機の価格は 50万ドル以上はする。

同チームが開発中の金属 3Dプリンターは市販の樹脂出力用の 3Dプリンターよりも安く手に入れられるが、「保護具や消火器具を用意する必要があるため、現段階ではこのプリンターの組み立ては専門のショップか業者に任せることを推奨したい」。

金属製品の出力可能な 3Dプリンター、とくると、どうしても銃砲類の違法製造の問題がつきまとう。Pearce 准教授もこの問題について、眠れない夜が続いたと認めるが、3Dプリンティングによるあらゆるタイプの分散型生産から得られるメリットのほうがはるかに勝っていると考えている。そして、既製品を購入するより自宅で 3Dプリントアウトしたほうが環境にも優しい。

とりわけ既成品が入手困難な開発途上国の人々と、試作コストの大幅な低減が見込める研究者にとって、3Dプリント可能な製品の幅が広がるのは大きな恩恵になるはずだと同氏。「中小企業であっても、無償でダウンロード可能なオープンソースのデザインを使用して簡単に、しかも素早く部品や道具を組み立てることが可能になる。経済に革命を起こし、多くの人がこの恩恵に預かるようになるかもしれない」。

「このようなプリンターを取り扱えるほどわれわれが成熟しているかどうかはわからないが、こうしたオープンソースの取り組みにより、広範な製品がオンデマンドで製作可能になり、その結果、最小コストで富の分配ができる社会が到来するのももうすぐだと思う。いずれ、作れないものはほとんどなくなるだろう」。

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2013年12月3日火曜日

ドイツとメキシコに初の 3Dプリント ショップがオープン

11月27日、ドイツで初の 3Dプリント専門ショップ、「Botspotが首都ベルリンのモーリッツプラッツにオープンした。

Botspot は、「3Dプリント全般をカバーする、ドイツ最大の 3Dプリント ショップ」を標榜する。オープンしたベルリンのショップでは顧客のミニチュア全身像をはじめ、日用品、自作 3Dデザインおよび建築模型の造形、そしてもちろん 3Dプリンターと関連アクセサリーの販売も行う。

顧客は Delta Tower、Ultimaker、Makerbot などの 3Dプリンターメーカー製品のほか、いわゆるファブラボ製のオープンソース 3Dプリンターも購入できる。


また、メキシコ・ソノラ州の州都エルモシージョにも、同国初の 3Dプリントショップ「Ideaz 3D」が 22日にオープンした。こちらは店内に5台のデスクトップ型 3Dプリンターと、2台の 3Dスキャナーを常備している。顧客はスマートフォンケースを店内でデザインし、そのままプリンターで出力してもらえる。ブレスレット、リング、イヤリング、ランプ、玩具などもプリントアウト可能。ベルリンのショップ同様、こちらのショップでもスキャンした全身像から顧客自身の小型フィギュア造形が体験できる「3Dフォトブース」コーナーがある。現在のところフィラメントは好みの色を選べるが、完成品は単色のみの提供。全身の 3Dスキャンはターンテーブルに乗って行い、ディスプレイに投影された立体画像からフィラメントの色と素材、仕上がりサイズが選択できる。

「このショップはわたしたちのアイディアを統合させたものです。テクノロジー大好き人間の夫、3Dプリント業界で働くきょうだい、そしてわたしはクリエイティヴなものはなんでも好きな人間」と言うのは、このショップを設立したオーナーの一員 Carolina Manguia 氏。「3Dプリント技術を教育の場に導入できればこんなにすばらしい貢献はない。子どもたちが 3Dプリントと、そこに広がるあらゆる可能性からいかに多くのことを学習するか、想像してみてください」。価格は従量制で、造形に時間のかかる高精細なオブジェクトほど高くなるが、それでも時間当たりで税抜き 95ペソ( 約7米ドル )ほどと低めに設定されている。

2013年12月1日日曜日

オレンジの皮で 3Dプリント ?! 

英国発:持続可能型のデザイン プロジェクトを手がける英国のデザイナー  Alkesh Parmar 氏が近年取り組んでいるのは、廃棄物ゼロの生産システムだ。その良い例が、食品廃棄物から新素材を生み出す「APeel」プロジェクトだ。

Parmar 氏によれば、飲料製造業から発生するオレンジの種や房、皮など、食用にならない廃棄物の多くは家畜の餌に加工されているが、動物にとってはむしろ有害になる場合があるという。
そこで同氏はオレンジやレモンといった柑橘をブレンドしたものに有機由来の結合剤を加えて固め、環境に負荷のかからない材料へと変える。使用する道具もすべて再利用品で、必要に応じて手を加えたものだ。

「このような生ゴミから、完全な生物分解性を持ち、かつ持続可能な素材の実現を目指して研究と開発に取り組んできた。その結果、ある特定の方法を使えば、オレンジの皮のような生ゴミも、好ましい順応性と強度を備えた持続可能な素材に変わることが証明された。従来の持続不可能な素材に置き換わる可能性もある」と Parmar 氏は述べている。

このデザイン プロジェクト全般を通じ、エネルギーと水の消費は最小に抑える一方、自然由来の資源は最大限活用して、従来工程で発生する廃棄物から生物分解される、環境にやさしい最終生産品を送り出すことで付加価値を生み出している。「APeel」は現在、特許出願中だ。

動画は、「APeel」で生成された素材を 3Dプリントに応用した実験だ。



2013年11月26日火曜日

Motorola Mobility と 3D Systems が「組み立て式 Android 端末」で提携

現地時間 11月 22日、Google 傘下の Motorola Mobility と3Dプリンター製造大手 3D Systems は Motorola が主導する「 Project Ara 」で、複数年の開発提携を結んだと発表した。

「 Project Ara 」は、ユーザーがパーツを自由に組み合わせて Android スマートフォンを自作できる開発システムで、ユーザー自身の手でアップグレード可能、しかも破損した場合でも補修部品を提供してもらえばよく、従来のように本体をそっくり買い換える必要もない。

3D Systems はプレスリリースで、「本プロジェクトでは迅速な生産および供給の継続的体制の構築が求められる」と述べている。

Motorola は以前、3D Systems と共同で、3Dプリント技術を体験してもらう「メイカソン」ツアーを工学系学生を対象に行なったことがある。

「 Project Ara では素材強度、アンテナ用導電性インクを使用した造形などの分野で技術革新が要求される。これらの技術革新によって、3Dプリンティングによる迅速な大量生産が可能になるはずだ」と、Motorola 先端技術プロジェクト グループ長 Regina Dugan 氏はプレスリリースで指摘している。

Motorola は Google 傘下になって以降、生産およびサプライチェーン体制刷新のため試行錯誤を重ねてきた。今夏にリリースしたAndroid スマートフォン Moto X は、テキサス州フォートワースにある改修された同社工場で組み立てられており、これは同社初の「メイド・イン・U.S.A. 」のスマートフォンだという。

2013年11月25日月曜日

MakerBot、ボストンに直営店をオープン

米国マサチューセッツ州発:MakerBot は 11月 21日( 現地時間 )、ボストンのニューベリー・ストリートに直営店をオープンした。直営店出店は、昨年オープンしたニューヨーク店に続いて、2店舗目。
「頭で思い描いたものが現実に作れるようになり、手にすることができる」。同社創立者の一人で現 CEO、Bre Pettis 氏は開店初日にこう述べた。「世界中でただ一人、自分が欲しいと思うものをご自身で生み出すことができるようになる」。
20 年以上もの間、エンジニアやメーカーが使用してきたのは大型かつ高価な 3Dプリンターだったが、MakerBot は一般ユーザーが使えるほどシンプルで、ハイエンド PC や大画面 TV 並みの出費で買えるプリンターを製造する。
直営2号店となるボストン店では今後、オンデマンド 3Dプリントサービスも提供開始の予定だ、と Pettis 氏は述べた。
同社がボストンに直営店を開店するにはもっともな理由がある。「弊社製品の顧客の中心地が、まさにここボストンだ。これまでもボストン市内の学生寮などに弊社製品を多数、納入してきた。弊社製品なら小型冷蔵庫の上に載せてもぴったりなサイズだからね」と同氏。
またボストン周辺は、3Dプリント関連産業が多く集まっているエリアでもある。MIT メディアラボのスピンオフである Formlabs もその一つ。サマーヴィルに本拠を置く同社は 2014 年2月、3,300 ドルの新型 3Dプリンターをリリース予定だ。またケンブリッジに本拠を置く MatterLabs は、Web ブラウザ内で動作する CAD ソフトを制作し、ボストンに本拠を置く新興企業 3-Spark は電気回路を内蔵したオブジェクトの造形が可能な 3Dプリンターをもっか開発中だ。
MakerBot ボストン店には、12 歳の Leon McCarthy 君も来店し、Pettis 氏と共に開店記念イベントに参加していた。Leon 君は左手の指が欠損した状態で生まれた。父親の Paul氏は、3Dプリントアウト可能な義手造形のためのソフトウェアを開発した「Robohand Project」のことを知り、McCarthy 氏は 3Dプリンターを借り受けて息子のための義手を自作した。イベントで Leon 君は Bre Pettis CEO と共に、3D プリンターで自作した義手を来店者に披露した。
Leon 君は、従来の方法で義手を製作してもらったら何万ドルもかかったと思うと語った。「MakerBot の 3Dプリンターなら、( 材料費は )5ドルだよ」。
げんに、Leon 君がフットボールのプレイ中にボールをつかもうとした時、父親と作った義手を壊してしまったが、新しいパーツを造作なくプリントアウトした。「こんどはもう少し人間の手らしくしたい。関節にもっと丸みをつけたい」。
画像:Bre Pettis MakerBot CEO と Leon McCarthy 君( Reuters 配信 )。


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2013年11月24日日曜日

大学間で 3Dプリンター導入競争 ?! 

このほどサンディエゴで開催された米国機械学会( ASME )の年次国際学会および展示会で、3Dプリントおよび 3Dプリントによるもの作り革命が今後の生活にどのような影響を与えるかについて議論が交わされた。

McKinsey Global Institute のレポートによれば、今後のわれわれの暮らしや仕事、世界経済に影響を及ぼす可能性のある 12 の技術のひとつが 3Dプリンティングだという。

そして米国機械学会長 Madiha Kotb 氏も、各大学は最新の 3Dプリントおよび 3Dプリントによるもの作りを積極的に取り入れるべきだと指摘する。理想的には、K-12( 幼稚園から高校まで一貫して受けさせるカリキュラム )にも取り入れるべきだとも述べている。

米国内の各大学では、3Dプリントを体験してもらうスペースを設ける動きが広まりつつある。いずれも図書館内に体験スペースを設置するケースが多い。

ニューハンプシャー大学やアラバマ大学、およびイリノイ大学アーバナ-シャンペイン校ではすでに 3Dプリンター体験コーナーを設置済みで、学生も教職員も共に 3Dプリンターの使用法や造形を学べる。アラバマ大学の場合、53 人の学生がプリンター操作を学び、体験スペースを利用した学生や地元住民の反応も極めて前向きなものだった。イリノイ大学アーバナ-シャンペイン校では MakerLab を開設、以来約 1,000 人が訪れたという。

一方、名門私立ジョージタウン大学やエモリー大学のキャンパスには 3Dプリンティング技術体験のできる場所は用意されていない。3Dプリンターのない大学は、大学進学予定者とその保護者から進路希望から外される可能性もある。

Lorna Sheridan 氏は、カリフォルニア州のソノマ・アカデミーの 3Dプリントクラスで製作に没頭する高校生の息子の姿を見て、胸踊らせている。息子の進むべき大学選定に当たっては、3Dプリンティングのような最新技術に投資しているかどうかをまず見極めるという。

2013年11月19日火曜日

Microsoft、「3D Builder」の無償提供開始

Microsoft は現地時間 11月15日、Windows OS の最新版「Windows 8.1」で動作する 3Dモデル作成アプリケーション「3D Builder」を公開した。同アプリは Windows ストア経由で無償配布される。

「3D Builder」は至ってシンプルなアプリであり、これから 3Dプリントを始めたい個人ユーザー向き。同アプリにはカボチャや風車、機関車などの 3Dモデルサンプルがあらかじめライブラリーとして登録されているが、カスタマイズの自由度はあまり高くなく、実行できるのはオブジェクトのリサイズ、回転、接合などに限定される。

また Microsoft 直営店では、MakerBot 製 3Dプリンター「MakerBot Replicator 2 Desktop 3D Printer」の取り扱いも開始した。価格は 2,199米ドル。

先月、Gartner が発表した報告によれば、2013年末までの 3Dプリント関連支出の総額は 4億1,500 万米ドルと見込まれ、そのうち 3億2,500 万米ドルが企業における 3Dプリント関連支出額だという。とはいえ、事務用品小売大手 Staples でも 3Dプリンターの販売をすでに始めており、また直近のオバマ大統領の一般教書演説を受けた MakerBot でも、教育現場での 3Dプリンター導入促進を狙ったクラウドファンディングを立ち上げるなど、個人ユーザー層開拓の流れは加速している。Microsoft が「3D Builder」を企業向けではなく、あえて個人ユーザー向けに、しかも極力シンプルなアプリとして提供したのは、この一連のトレンドに乗って、個人ユーザーの 3Dプリンター需要を掘り起こしたい考えなのだろう。

なお MakerBot は 14日、「Replicator 2」用 Windows 8.1 用ドライバーソフトを、Windows Update Service にて提供開始すると発表した。同社は Microsoft と共同で、「Replicator 2」の Windows 8.1 用ドライバーを開発してきた。


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2013年11月18日月曜日

世界初、3Dプリントで復顔の試み

ウェールズ州スウォンジにあるモリソン病院の医療チームはこのほど、CTスキャン画像から 3Dプリンターで出力したチタニウム製インプラントを使って、バイク事故で深刻な外傷を負った患者の顔を復元するオペレーションを行なっている。

チタニウム製インプラントは先天性症状に対して使用された先例はあるが、交通事故による外傷に対して臨床応用されるのは今回が世界初だという。入院患者は緊急手術を終えたところで、本格的な復顔はこれからになる。


手順は、まず患者の損傷していない側の顔面を CTスキャンしてその鏡像を作り、これに基づいてガイド器具と 医療用チタニウムでできたインプラントを 3Dプリンターで造形する。ガイドとインプラントの製作には世界でも数社しかないという高度な 3Dプリント技術を有するベルギーの企業が当たる。復顔手術では顔の骨の切断と再配置も含まれ、難易度が高い。

モリソン病院の顎顔面治療ユニットでは 2006年から、全英製品設計開発センターと共同で、「外科手術における応用再建技術センター( CARTIS ) 」を設立しており、今回の復顔プロジェクトは CARTIS 主導で進められている。

復顔作業に当たっている Peter Evans 氏は、「緊急手術までは全力を尽くした。本オペレーション自体は実質上すでに完成しているので、早く復顔作業に当たりたい」。

なお、今回の復顔プロジェクトは現在、科学博物館で開催中の「 3D: Printing The Future 」でも出展されている。

2013年11月12日火曜日

公共図書館で 3Dプリンター体験を

ニュージャージー州のスパータ公共図書館はこのほど、MakerBot Replicator 2X を導入した。

「価格は 3000 ドルもしなかった。3Dプリンターの価格は下がり続け、もはや世間の人が考えているほど高くはない」と、同図書館システム管理者 David Costa 氏。「他地域の図書館ではすでに 3Dプリンター導入の事例が多くあり、利用者サービス差別化の一環として、われわれも導入を決めた」。3Dプリンター導入済み図書館 でもっとも多く採用されていたのが MakerBot 製だったので、同図書館でも MakerBot 製品を選択したという。

今回、購入したプリンターは、10月30日にオープンした Space@Sparta という新しい体験型イベントセクションの呼び物の一つだ。ここに来れば、だれでも気軽にモノ作り体験ができる。「当館ではこれまでずっと、学びのスペースを提供してきた。3Dプリンター導入も自然の成り行きだと言える。プリンター導入は当館を利用される地域住民の要望でもあったし、地域住民に新しいことにトライしてもらう機会を与える一助にもなる。いずれは新開発した試作品のテストをしたいデザイナーや、なにかのプロジェクトで活動する学生らが最大限有効活用するだろう」。

マサチューセッツ州アンドーヴァーに住む Chris Larson 氏もそんな利用者の一人だ。「はじめは子どものために1台購入するつもりだったが、ここに来ればプリンターはあるから、その必要はないかな。もっとも使うのに順番待ち、なんてことがなければの話だけど」。

スパータ公共図書館が導入した機種はデュアルヘッド仕様なので、同時に2色のプリントができる。用意されているフィラメントは現在6色だが、今後は色数をさらに増やすと Costa 氏。2.5cm 四方の物体の造形で消費されるフィラメントの長さは、約 30cm だ。

同図書館では現在、3Dプリンター講座を週3日開催しているが、11月分はすべて予約で埋まっているという。各受講者が確実にプリンターを操作できるようにするため、同講座では一回当たり受講者数を3人に限定している。

Costa 氏によれば、3Dスキャナー購入も検討中だという。導入済みのプリンターと組み合わせれば、造形したオブジェクトを丸ごと複製することも可能になる。

2013年11月10日日曜日

3Dプリンターに乗り気になれない5つの理由

3Dプリンター ファンに一言。頭を冷やせ。

3Dプリントは次世代の産業革命だ、と喧伝するテクノロジーの予言者たち。彼らの声に乗せられ、自宅地下室ににわか工場を構えてトヨタやボーイングの向こうを張る個人ユーザー。投資家も我先にと、 Stratasys Ltd.、3D Systems Corp、ExOne Co. といったプリンター製造メーカー株に群がる。HP でさえ、この 3Dプリンター市場に参入するのはもうまもなくだろうと言われている。


だが、3Dプリンティング技術がこの世に出現して 30年ほどが経過したことを考えると、業界規模は思っているほどには大きくない。あるコンサルティング会社の試算では、2012 年度の 3Dプリント業界の収益は 世界全体で 22億米ドルで、その半分は設計・試作関連が占めるという。完成された製品に限った収益は約 28% の 6億ドルに過ぎず、これは製造業の世界全体における収益の 0.01% にも満たない数字だ。

以下、3Dプリントにおける問題点を5つ挙げる。
  1. ロードバイクや携帯電話の自作は、数年先になってもできない。

    今や MakerBot などのホームユース向け 3Dプリンターは 2,200ドルほどで購入可能になったが、このような廉価帯機種で造形できるのはせいぜいが装身具や小間物だ。一般個人ユーザーが壊れた冷蔵庫の部品を自作できるようになるには少なくともあと 10年はかかる。
  2. そんなに速くない。

    プロユース向け高級機種でも、複雑な形状の物体を造形するには何時間、場合には数日かかる。3Dプリントの現状は遅くて高コストであり、大量生産には向いていない。
  3. できあがってもすぐに使えない。

    造形する物によっては研磨などの仕上げ工程が必要となる場合が多い。小物の場合は製品同士の接着などといった作業も必要だ。
  4. あらゆる素材に対応するメリットという点では射出成形などの従来方式が有利

    現段階では 3Dプリンターで加工可能な素材にはプラスチックやセラミック、一部の金属といった制約がある。
  5. 現行製品では車や飛行機を「まるごと」プリントアウトできない。

    たとえば Stratasys の最大級プリンターでも、対応可能な物体はせいぜい 1m 四方ほど。競合他社ではさらに大型の製品が製作可能なプリンターを開発中だが発売時期がいつになるのか、また巨大な構造物の造形が問題なく行えるかといった点に関しては依然として不透明なままだ。
とはいえ、3Dプリント、正式には積層造形という生産方式がさして重要ではないと言っているのではない。3Dプリント加工技術によって、製造各社は試作品の設計と試験が速く、容易に行えるようになったし、複雑な形状の部品を一発で造形できるという点は、従来方式の加工では不可能だったことだ。

参照元記事

2013年11月4日月曜日

3Dプリントは大きなビジネスになるか

3Dプリントのイメージには問題があるように思われる。リビングにあるデスクトップ PC につないでちょっとした小物を作るといった、ホビイスト向けの道楽のように見られたりするからだ。だが、新しい発想を実現させる手段として 3Dプリンティング テクノロジー導入を検討する企業の数は増加し続けているのも事実だ。

3Dプリントは正式には「積層造形法」と呼び、産業界ではこちらの呼称が定着している。家庭用でも業務用でも、3Dプリントの原理は同じだ ―― 何もないところから材料を一層一層、薄いレイヤー状に積み重ねて造形する手法だ。従来の「減法式の」成形法に比べると切削、研磨といった工程がないため材料も無駄にならない。そして この「積層造形法」、つまり 3Dプリント最大の利点は、「製品を速く、自前で製作でき、1回限りの生産にも対応できる」ことにある。

ボーイングは 1997年以来、航空機製造における「積層造形」の研究開発を続けており、エアダクトや配線カバーといった小型部品はすでに「積層造形法」で製造し、また金属加工可能な積層造型機でさまざまな試作品も製作している同社によると今後は構造材などの大型部材も積層造形で組み立てることを目指している。


ボーイングと並んで NASA も、長年に渡ってこの 3Dプリンティング テクノロジー活用法を探ってきた。ジェット推進研究所( JPL )ではすぐにでも搭載可能な新コンセプトによる部材の試験用として、3Dプリンターで部品を試作している。同研究所ではMakerBot や 3D Systems などの
コンシューマー向け機種も含め、10数台の 3Dプリンターを所有しており、研究者のブレインストーミング用に活用している。今のところ結果は上々で、たとえば今夏、Webカム スタンドとして作った小物の回転機構から、開発中の新宇宙船用パラシュート展開機構への応用も生まれている。「これはまさしく ' アハ ' 体験の瞬間だった」と、同研究所 CTO の Tom Soderstrom 氏は言う。

同氏によれば、いずれはすべての宇宙探査船を 3Dプリントで「プリントアウト」したいという。「宇宙船は無人で、小型化され、大判美術本くらいのフラットパネル状にまで小さくなるだろう。すべての宇宙船がボイジャーのように見える必要はない」。


また
Soderstrom 氏は、現状ではコンシューマー向け 3Dプリンターは開発途上にあり、使用機種によっては完成品の差が大きく、3Dデザインを出力するソフトウェアも扱いにくいと指摘する。3Dプリンター用デザインソフトはプリンターベンダーが Autodesk のような 3D CAD として、あるいは Siemens のような製造大手が提供する場合もある。それでも同氏は企業の CIO に対して 3Dプリンターへの投資を推奨し、また、どの機種が自分たちの事業にとって最適なのか、助言を与える「IT コンシェルジュ」として登用可能な人材を見つけるべきだともいう。

「高価格の最高機種は必要ないが、廉価タイプでは高品質な部品の製造は難しい。そんな時に IT コンシェルジュは役に立つだろう」。コンシェルジュには、単一製品において多種多様な素材をいかに扱うかといった知識が必要だろうと、と同氏は述べている。

また物流大手 UPS は、3Dプリンターを購入するゆとりのないスタートアップや小規模事業者向けに、営業拠点店頭で完成品を受け取れるサービスをすでに試験運用している。UPS では現在米国内の6営業所に 3Dプリンターを設置しており、料金は造形する製品デザインの複雑さによってさまざまだが 10 ~ 500米ドル。利用者は、まず STL 形式の3Dデータを持ち込み、造形可能かテストした上で見積もりを出してもらう。同社は1年間の試験運用の結果を見て、3Dプリンター設置拠点を増やすかどうか決めるとしている。


オンライン 3Dプリントサービスとしては、すでに Shapeways Quickparts がある。こちらは利用者からアップロードされたデータを受け取り、それを自社設備でプリントアウトして完成品を宅配する。

他のオンライン型サービスとして、3D Hubs がある。これはいわば不動産マーケットプレイス Airbnb の 3Dプリンター版だ。3Dプリンターを持っていないユーザーが、プリンターを所有する近隣の他ユーザーにプリントしてもらうことを支援するサービスだ。

一部製造業では、3Dプリントはすでにきわめて重要な工程となっているが、中小企業において3Dプリント導入の最大の足かせとなっているのは、Gartner のさる産業アナリストの発言を引けば、「3Dプリント活用のしかるべきタイミングについて、認識じたいが足りない」ことにあるのかもしれない。3Dプリントはなにもボーイング並みの大企業である必要はない。高度にカスタマイズされたデザインの試作品の少量製作に向く 3Dプリントは、小規模事業者にとっても有益な選択肢の一つとなる。

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2013年11月2日土曜日

3Dプリンターで住宅問題も解決 ?! 

南カリフォルニア大学大学院で製造エンジニアリング プログラムを主催する Behrokkh Khoshnevis 教授が実用化に情熱を注いでいるのが、住宅をまるごと「造形」してしまう巨大な 3Dプリンターによる無人・全自動のロボット工法だ。

「全世界で満足な住居を持てずにいる人が 10億近くもいます。この現状が貧困、病気、無教育、犯罪、人工過剰など諸問題の温床となっています」。昨年春にカリフォルニア州オーハイで開催された TEDx トークで Khoshnevis 教授はこう訴えた。

Khoshnevis 教授が現在開発中の Contour Crafting は、この人間の「住」問題を根本から解決することを目指すものだ。同教授がプレゼンテーションで披露した動画では、巨大なクレーン状の 3Dプリンターがコンクリートを吐き出してレイヤーを一層ずつ積み重ねて壁を作っていく様子が紹介されている。開発中の住宅建設用 3Dプリンターの試作機では、2,500平方フィート( 約 230平方m )の住宅ならばなんと 20時間で完成するという。ほぼ一日で家がまるごと1軒、完成することになる。

にわかには信じられない夢物語のような話にも聞こえるが、
 Khoshnevis 教授によれば決してそんなことはないという。現に NASA は Contour Crafting に出資して、月面探査を想定したさまざまな構造物が無人作業で組み立てられるかどうか研究してもいる。だが Khoshnevis 教授にとっての最終目標は、やはり「貧困層向け居住区を速く、安全に、効率的にまるごと」提供することだ。

また
 Khoshnevis 教授によれば、この 3Dプリント工法で建てられた建物は直線デザインに限定されず、構造的に堅牢で見た目もよい曲線構造もプリントアウト可能な点を利点として指摘する。住宅デザインも CAD なので簡単にカスタマイズできる。壁用のコンクリート部材は材料削減と軽量化のため中空構造だが、それでも 1万 psi の強度があり、これは従来工法で作った住宅用壁面材よりも強いと教授は言う。

同教授の試算では、この 3Dプリントによる全自動建築は材料費が従来比で 25-30%、建築予算面では 20-25% 抑えることができるが、もっとも大きく削れるのは人件費で、45-50%も節約できるという。そして CO2 削減にもつながり、省エネルギーでもあるとしている。

だが、これは何千何百万という建設労働者が失業することにならないだろうか ?  そんなふうには思わないと Khoshnevis 教授は 1900 年代初めを引き合いに出して言う。当時、人々は農業の機械化によって大勢の農民を追いやり、その結果、経済が破綻するのではないかと恐れていた。たしかに今日、農業従事者は米国総人口の1.5% 未満だが、それでも破綻していないと説明した上で、むしろ Contour Crafting によって新しい仕事が生み出され、とりわけ女性や高齢の働き手にとって新たな受け皿が建設業界にできるとさえ指摘している。

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2013年10月27日日曜日

3Dプリンターの普及は、知的財産権のあり方まで変える ? 

3Dプリンターは、あらゆる目的を満たすコンピューティングの新たな 1歩だ。3Dプリンターを取り巻く環境は、ちょうど 1980年代の PC 普及期と似ている。3Dプリンティング テクノロジーはここにきて急激に進化し、プリンターにかかるコストも下がって、家庭やオフィスでの導入が急激に進みつつある。

家庭や職場で 3次元の物体が容易に作れるようになるこの 3Dプリンターは、著作権および知的財産権関連の法体系まで一変させるかもしれない

今や 3Dプリンターはプラスチックはじめ、金属、さまざまな化合物からも造形可能になっている。付属の 3次元デザインソフトのおかげで造形-プリントアウトもたやすい。3Dスキャナーがあれば、自力で設計できない人でも造作なく 3次元データを取り込み、加工できる。

とてつもない可能性を秘めた 3Dプリント テクノロジーだが、これを脅威とみなし、既成の知的財産権保有者を保護するため、あるいは家庭で銃火器を製造させないためといった名目で規制をかけようとする動きも出てくるかもしれない。著作権のデジタル化時代が始まった頃と同様に、3Dプリント テクノロジーが本来の潜在能力を発揮させるためにも、なんらかの法的保護が必要だ。

3Dプリントは、だれでも自分の欲しい物を自由に作れる時代の到来を告げるものだ。たとえば顧客がきわめて突飛な品物を求めている場合でも、その場で顧客の求めに応えることができる。既製品のパーツでは市場の要求に応えられない時でも、比較的低コストで生産することもできる。

従来の特許関連法がベースにしているのは、産業革命以来の古い発想だ ―― つまり重大な知的財産権侵害には多大の投資が必要、というものだ。特許権および特許関連産業も、この「規模の経済」的な古い考え方にもとづく。だが 3Dプリントの場合はこれが当てはまらない。

従来は、商品開発にかかる研究、生産、流通には多大の資本が必要で、大規模侵害を図る側も相当な投資がつきものだった。だが音楽、映画、書籍といった分野のデジタル化が進行した現在、これらの産業構造も様変わりした。生産コストは下がり、瞬時にしかも安価で流通し、個々のニーズに対応できるオンデマンド配信が可能になった。特許権も、同じ道をたどるようになるだろう。


現在は、十分な元手のない個人や小規模事業者が既成の知的財産権を侵害するのは困難だという見方が主流だが、3Dプリンターさえあればこれもひじょうに容易にできてしまうだろう。こうなるとただ規制を強化してもあまり効果はない。見方を変えれば、従来の特許や著作権やドレスコードなどの価値が相対的に下がるということでもある。3Dプリント テクノロジーによって、この流れは一段と加速するはずだ。

どんなテクノロジーでも、それが成功するかどうかの可能性を左右するのは、法律だ。それは 3Dプリントにとっても同じだ。

とにかく、次に挙げるような理にかなった規制法制度が確立しない限り、この「パーソナルな工場」は実現できないだろう。その規制とは、1). 個人的目的で 3Dプリンターを使用する場合は、その個人に知的財産権侵害の責任を負わせない。2). 3Dプリンタブルな 3次元データなどを配布する Webサイト用に、誤解の余地のないわかりやすい規制条項を提示する。3). 現行システムにおける既得権益保有企業が、自家製火器を製造するおそれがあるなどと称して 3Dプリントを排除しないようにすること。

以上のような変化が望めない限り、3Dプリント テクノロジーは旧来のビジネスモデルを守るための闘いという泥沼にはまり込むだけだろうし、誤った法規制がかかれば、3次元クリエイターたちは特定目的の製品以外は造形してはならないなどと言われかねない。

2013年10月26日土曜日

HP の 3Dプリンター参入表明と、3Dプリンターのこれから

バンコクで 10月22 - 24日にかけて開催された IT 関連国際カンファレンスにおいて、HP の CEO、Meg Whitman 氏は、2014年半ばから 3Dプリンター市場に本格参入することを明らかにした。同社は 2010年から 2年間、OEM契約を結んだ Stratasys製 3Dプリンターを販売していた。

「弊社は 3Dプリンティング テクノロジーに胸踊らせている。HP Labs は 3Dプリントに注目している」と Whitman 氏は語った。

ただし、3Dプリントの現状には問題があるとも指摘する。「ボトル状のオブジェクトを製作するのに 8 時間から 10 時間もかかる。たしかにこれはこれでおもしろい。でもこれでは氷が溶けていくのをひたすら眺めているようなものだ」。製造コストダウンも今後の課題だという。「3Dプリンティングはまだ揺籃期。これはビッグチャンスでもあり、われわれは皆このチャンスに夢中だ。2014年半ばにはなんらかの形にして披露したい」。

HP の 3Dプリンター市場本格参入が意味するのは、3Dプリンターが一部のギークや工業デザインといった限られた領域から、一気にメインストリーム化するということかもしれない。HP という業界最大手が参入することで、巨大なビジネスチャンスをものにしようと Canon、Epson、Xerox といった競合他社も続々と本格参入し、開発競争に一段と拍車がかかるかもしれない。

技術革新の歴史を見ればそれは明らかだ。競争がさらなる技術革新を促し、両者の進行によって価格は下がり、価格が下がればさらなる顧客層を獲得し、幅広い分野で普及が進む。

かつてのインクジェットプリンターがそうだ。90年代初め、登場したてのころはひじょうに高価な割には、プリントアウト結果は解像度わずか 300dpi に過ぎなかった。インクも耐水ではなく、インク滲みもひどかった。

それから 20年ほどが経過した今、インク配合やプリンターヘッドなどが格段と進化し、たとえばインクジェットプリンターで写真用紙に画像を印刷した場合、ちょっと見ただけではショップでプリントしてもらったものと見分けがつかないほど印刷品質は向上している。

ここで懸念がある。もし 3Dプリンティングがかつてのインクジェット機と同様の道をたどるとすれば、工業生産や販売に関する古くからの概念を根本から覆すことになりかねない。ここで問題になるのが、海賊版の氾濫だ。

たとえばディナーセットが欲しいと思えば、現時点ではオンラインショップを覗くか現実の店舗まで足を運び、品定めしてから購入する。ところが普及タイプの 3Dプリンターでたいていのものはまかなえるとなると、人々は Web上にあるディナーセットの 3Dモデルをチェックし、色や質感を選んでから決済し、ダウンロード購入するようになるだろう。

その規模は 2Dプリンターの比ではない。生産設備も店も倉庫も必要ないのだから。海賊版作者たちの目にとまるのも必然と言える。彼らはすでに physible と呼ばれるダウンロード可能な 3Dモデルを公然と配布している。

現在の3Dプリンターの性能には限界がある。あまりに大きな物体は工作できない、素材も低価格モデルでは ABS などのプラスチックに限定される。とはいえ、3Dプリントアウト可能な素材の幅は広がりつつある。産業用機種の場合、今では金属、ゴム、セラミックなどの素材からも工作可能だ。素材以外での最大の課題は、やはりコストだろう。

そして 3Dプリンターが進化するにつれ、あらゆるものが偽造可能になるかもしれない、という問題が表面化すると思われる。3Dプリンティング可能な物なら、正式なダウンロード手続きを経て購入するよりは自前で作ったほうが手っ取り早く、金もかからないからだ。

2013年10月22日火曜日

Voxeljet AGのADR、初上場でいきなり2倍に

10月18日、ニューヨーク証券取引所 ( NYSE ) に ADR( 米国預託証券 )を初上場したドイツの産業向け大型 3Dプリンター メーカー、Voxeljet AG (VJET.N) は、取引開始早々に高値をつけて関係者を驚かせた。

同社 ADR は1株当たり下限価格の 13ドルで売り出されたが、取引開始直後から急上昇し、売出価格の2倍超となる 27ドルの最高価格をつけた。同社と同株保有者は 650万ドルを販売した段階で、8,450万ドルの利益を得たことになり、公開価格が低すぎたのではと疑問視する向きもいる。

Voxeljet AG は、一般消費者向けの 3Dプリンターを量産するメーカーではなく、企業向けに特化した大型 3Dプリンターメーカーだ。2012年公開の映画「007 スカイフォール」で使用されたアストンマーチン DB5の精巧なレプリカ 3台も、同社の大型 3Dプリンターで製作された「作品」だ。

近年、プリンター製造コストが低下するいっぽうで、3Dプリンターの需要は急伸し、業界大手各社の株価も軒並み値上がりしている。たとえば産業向け 3Dプリンターメーカーの ExOne Co は2月に株式を新規公開して以来、価格は 2倍に跳ね上がり、3D Systems は前年度比でやはり2倍以上をつけている。反対に、Stratasys Ltd 株は 70ポイント高にとどまっている。

Voxeljet AG の報告書によると、6月末締めの2013年度半期の利益は 580万ドル、計上損失は 48万9,000ドルだという。またある投資会社によると、Voxeljet AG は今後、未開拓のアジア太平洋地域へ事業拡大する計画だという。同社は、今回の IPO で得た利益をオンデマンド・プリント事業や新規の研究開発に振り向けたい考え。

2013年10月21日月曜日

EV 車が 3Dプリンターに早変わり ?! 

将来、修理や宅配サービスのクルマも 3Dプリンターを搭載してやってくる ?! このたび、サン・マロに本拠を置く 3Dプリント推進団体 Le FabShop とルノーが手を組み、同社の開発した電気自動車のトランクに低価格タイプ 3Dプリンター、MakerBot Replicator 2 を積み込み、「普通の EV 車を 3Dプリンター化する」実証実験を試みた。

「移動中に」
製作したスペアパーツを引っさげて、皆さんのお宅にやってくる … そんな時代がすぐそこまで来ているのかもしれない。今回の実験では、パリ市街の「凸凹だらけの」玉石舗装道を走行しながら住宅の CADモデルを Replicator 2 で仕上げたが、完成品は「完璧な出来」だったという。

2013年10月18日金曜日

3D プリンター普及の道のりはまだまだ遠い ? 

米国の調査会社 Gartner は 10月 2日、全世界での3Dプリンター販売台数に関するレポートを公表した。それによると 2013年末まで、10万米ドル未満の 3Dプリンター総出荷台数予測は、前年度比の 2倍近い 56,507台にまで達すると見込まれている。

同レポートによると、西ヨーロッパにおける 2013年の 3Dプリンター出荷総数は 14,335台と予測しており、2014 年末には 42.6 %増の 24,784 台になるとしている。

とはいえ、たとえば Appleの場合、iPhone 5S / 5Cの販売総数が 56,507台に達したのにかかった時間は 20分にも満たなかったのに比べるとものの数ではない。iPhone 5S / 5Cは販売開始からたった 1週間で、全世界で 900万台を売り上げている。

同レポートを書いた Gartner のリサーチ ディレクターによると、3Dプリンターの販売台数がある時点から急伸している点は認めながらも、コンシューマー向け製品としてはまだ主流ではないという。「3Dプリンターの売上はここ数年、横這い状態が続き、ここにきて急上昇に転じつつある段階だが、現時点では Wi-Fi への接続などの敷居が高く、買ってすぐシームレスに使える、というものではない」。

「2Dプリンターの一日当たり出荷総数は全世界で 293,000台にものぼるが、3Dプリンティング テクノロジーの現状はと言えば、コンシューマー向けの主流をなすまでには至っていない。たとえ5年後でも、あまねく普及するということにはならないだろう」。また、3Dプリントが現行の製造業を破壊する脅威となる、との一部識者の見方について同氏は、少なくとも短中期的にはそんなことはないだろうという。

3Dプリンターが一部ホビーマニアの道具という領域から脱皮できるかについて、同氏はまず使い勝手の劇的な向上と完成品質の大幅な改善、そして付随ソフトウェアの改良にかかっていると言う。企業ユースレベルではたとえば補聴器など、従来の工法では不可能な、高度にカスタマイズの要求される分野においてすでに 3Dプリンティング技術の実用化は進んでいる。

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宇宙船から人体器官まで:'3D: printing the future' が開催中

ロンドンの科学博物館は 10月 9日から、'3D: printing the future' と題する 3Dプリンティング・テクノロジー関連の展示を開始した。会期は2014年6月15日まで。大英博物館などと同様、同展も無料で誰でも楽しめる。

すべて 3Dプリントで製作された展示品は600 点を超える。航空機用の超軽量部材からインプラント、義肢、製作者自身の MRI 画像とセントポール大聖堂のデザインとを組み合わせた斬新なアート作品、火星の土壌サンプルを地球に持ち帰る探査計画で建造されるロケットに使用予定のチタニウムでできた複雑な格子細工など、多岐にわたる。

3Dプリント技術には従来の製造技術にはないさまざまなメリットがある。航空機用の部材を 3Dプリントで製造する場合、従来品よりさらに軽い部材の製作が可能なため、燃料コスト削減につながる。また、クイーンズランド工科大学からは生物分解性のパッチが出品され、たとえば頭蓋骨陥没などの損傷を受けた部位に使用し、これをベースに新たな頭骨の生成を促すといったことも可能になるという。同大学では他に 3Dプリントで人工の耳と鼻も試作している。またリヴァプール大学、ノッティンガム大学からも、同様な 3Dプリントアウトで製作した人工器官が出展されている( 3Dプリントで製作した人工膀胱と、義肢 )。

本展は主として 3Dプリント技術の切り開く未来像がどのようなものになるか、
に焦点を絞ったものだが、展示品の一部にはすでに実用化されている 3Dプリント製作品もある。

最先端テクノロジーに敏感なアーティストのみならず、日常生活から医療、宇宙に至るまで、その応用範囲の幅広さも、3Dプリントの持つひじょうに大きな特徴といえるのではないだろうか。

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2013年10月14日月曜日

Wondows 8.1 は 3Dプリントを「囲い込む」? 

Microsoft Windows の次期バージョン、「Windows 8.1」がまもなく発売されるが、新 OS の目玉のひとつが、ネイティブ レベルでの 3Dプリントのサポートだ。

同社が目指すのは、「Office 文書の印刷と同じくらい、きわめて簡単に3D プリントができるようになること」。そのための布石として、同社は3D モデルデータ形式を XML ベースの3MF( 3D Manufacturing Format )という新規格を提案し、同規格を普及させたい考えのようだ。

Microsoft によれば、Windows 8.1 上では従来の 2Dプリンターとまったくおなじようなウィザード画面に従うだけで、3Dプリント加工が可能だという。

下の動画のデモを見てもわかるように、Windows 8.1 では いま皆さんの手許にあるような2Dプリンターとほぼ同様の簡便さで、デザインファイルを 3D プリンターにシームレスに送信することができる。3Dプリンターを動かすための特別なドライバは必要なく、プラグ・アンド・プレイ対応、スプーリングやプリントキューなどの機能が 2Dプリンターとおなじように扱える。

Microsoft の狙いは、3D プリントにおける業界標準作りにある。同社の提唱する 3MFフォーマットに賛同しているメーカーは、業界大手の 3D Systems や Stratasys( 低価格機種を手がける MakerBot は 2013年 6月にStratasys に買収された )、Formlabs など。

この新規格が、新たな「囲い込み戦略」となるのだろうか。すでにオープンソース関連団体はこの Microsoft の動きを警戒しはじめている。




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2013年10月13日日曜日

閉めきった室内で 3Dプリンターを動かすと有害 ? 

ここ数年来、3Dプリンターに比較的低価格な一般家庭向けモデルが登場し、家電量販店でも見かけるようになってきた。DIY のように 3D プリンティングを趣味にする人も急増することが予想されるが、米国イリノイ工科大学の研究チームが学術誌  Atmospheric Environment に発表した研究報告によると、閉めきった室内でプリンターを動作させるのは健康にとってはあまり良くないようだ。


イリノイ工科大学の研究者たちは、閉めきった室内で 3Dプリンターを稼働させたときに人体に及ぼす影響と、室内で喫煙したときの影響とを比較検証した。その結果、風通しのない部屋で、マスクなど防護が一切ない状態で 3Dプリンターから発する「煙」を吸い込むと、長期的に見れば健康を損なう可能性があるという。

「市販されている 3Dプリンターの一部には、換気のない部屋で何も対策を取らずに動かすのは注意が必要な機種もある、ということだ」。プリンターから立ちのぼる「煙」の正体は、可塑性素材から発生する UFP と呼ばれる超極微粒子だ。普及版3Dプリンターは、粉末状の樹脂を出力ヘッドから押し出し一層ずつ積み上げて造形するため、造形中のヘッド部から UFP が発生する。

ちなみにプリントに使用する素材の違いによって、その「臭い」もずいぶん変わる。たとえば Makerbot Industry の Replicator 2 に代表されるデスクトップ型3D プリンターの場合、もっとも一般的に使用される可塑性材料は ABS と PLA 樹脂だが、ABS のほうは融解すると不快な刺激臭があり、換気のない部屋で吸引すれば咳き込んだりする。対してPLA のほうはどうかと言えば、3Dプリンターユーザーの言葉を借りれば、「ワッフルのような、場合によってはハチミツのような」ほのかな香りがするだけ、という。

ホームユース向け3Dプリンターを製造販売するメーカー側は、こういった「潜在的危険」について、ユーザーに対してほとんど周知していない。

Replicator 2  の場合、製造元サイトが注意を呼びかけているのは、プリンター作動中はその場を離れないこととか、エクストルーダーと呼ばれるプリントヘッドは超高温( 約 230 °C )になるため、出力中やその直後は機器内部に触れないこと( やけどのおそれがある ) といったことだけだ。


2013年10月12日土曜日

ノルウェーの絶景を立体地形模型でいかが ? 

ノルウェーの Bengler は、壮大かつユニークな( ? )プロジェクトを次々に立ち上げているデジタル ソリューション企業だ。たとえばスマートフォンの画面に触れなくてもテキスト / コード入力可能な 'Chorderoy' という補助装置を開発中だったり … その Bengler が、ノルウェーの絶景を 3D プリンターで出力した 3次元模型で提供するサービスを開始した。

サービスの利用はいたって簡単で、同社の Terrafab プロジェクトのサイトにアクセスして、画面に表示されるノルウェーの地形図から、自分のほしいと思う部分を選択してリサイズし、それを Shapeways に 3D プリントモデルの注文を出すだけ。自前の 3D プリンターがある場合はすべて無料だが、Shapeways 経由で完成品を受け取る場合は 100 USD かかる。3次元地形モデルは4面が各10cm のフルカラー立方体。

この3D プリント出力サービスがノルウェーの地形なのは、なぜなのだろうか ? Terrafab プロジェクト開発者のひとりによると、「このプロジェクトが可能になったのも、ノルウェー環境省の管轄する Kartverket が地形データのオープン化を推進しているおかげだ」という。「それにここは世界でも指折りの絶景地形の宝庫だからね」。このノルウェー当局の方針によって、一部分とはいえ、世界的に有名なフィヨルドの絶景が家にいながらにして堪能できる。


まるで魔法 ?! のようにロケット部品が作れる( かも )

SpaceX 創業者としても有名な起業家 Elon Musk 氏は 2013年 9月5日、動画サイト YouTube の同社公式アカウント上で、まったく新しい、独創的なモノづくりのあり方をデモンストレーションした。

3次元プロジェクション、および Leap Motion 製コントローラー、Oculus Rift の仮想現実( VR ) テクノロジーを組み合わせて、Musk 氏がPC ディスプレイに向かって両手を差し出して製作しているのは、なんと本物のロケットの部品。画面に投影された立体モデルをあたかも実物の部品が目の前にあるかのように操作し、好きな向きに回転させたりして、最後に 3D レーザー チタニウム プリンターで加工して仕上げた。

「これは 21 世紀型の設計および生産工程であり、革命的だ。部品を作るのに必要なシステムを一から構築しなくても、ただここに座って、必要な基本操作を覚えるだけで、信じられないほどの短時間ですばらしい結果が得られる。いままさに、テクノロジーの飛躍的進展が起ころうとしている」。

従来、このような機械部品の設計には CAD が使われてきた。だが CAD じたいが複雑で使いにくく、「3次元の物体を 2次元で」扱うためにどうしても不自然で、直観的に操作できないという欠点がある。Musk 氏によればこの方法は、設計者が頭に浮かんだイメージをそのまま実際の物体に移して形にすることが可能になるという。

Musk 氏のデモンストレーション動画では、既存の部品を投影したものを操作して説明している。モノづくりの工程に強烈なインパクトを与えた CAD に加え、いままた 3D プリンティングによってさらなる技術革新がもたらされた。これは CAD に次ぐ新たなテクノロジーの飛躍だ、と同氏は言う。