2016年7月8日金曜日

著名建築家の設計したアテネ市新文化施設の屋根を3Dプリントで再現

英国・ギリシャ発:ARRK Europe Ltd はこのほど、ギリシャの首都アテネで完成したばかりの複合施設 Stavros Niarchos Foundation Cultural Centre( SNFCC )オペラハウスの斬新なデザインの屋根「 Energy Canopy roof 」を忠実に再現した3Dプリント縮尺モデルを製作した。

この縮尺モデルはロンドン市に本拠を置く建築 / 土木設計の Expedition Engineering Ltd の委託によるもの。「 Energy Canopy roof 」はイタリア人世界的建築家 Renzo Piano 氏が設計を担当。年間 2,280 kwh 発電可能な 5,000 枚以上の太陽光発電パネルに覆われた薄い格子状のコンクリート支柱を組み合わせた構造で、内蔵の衝撃吸収装置により地震などの自然災害にも耐えられる設計となっている。屋根の太陽光発電だけで、ほぼ全館の年間消費電力を賄うだけの発電能力があるという。「 Energy Canopy roof 」はその優れた設計により、ギリシャ国内建築物では初めて米 NPO 法人 米国グリーンビルディング協議会( LEED )から最高ランクのプラチナ認証を受けている。

3Dプリントモデルは、まずクライアントの Expedition 側から提供されたスケッチを基に ARRK Europe が最適な出力方法を案出することから始まった。その結果、スケールモデルは 1 m ² 四方、使用する3Dプリントは SLS 方式で、各セクション毎にプリントアウトして組み立てる方法を採用した。

全3D CAD データの検証が済むと、ARRK は試作した屋根の一部を Expedition に提出して評価してもらった。各セクション造形にはガラス充填ナイロンパウダーを使用した。Expedition チームは ARRK の試作品を見てその品質の高さに目を見張ったという。屋根を構成する各層はわずか 0.5 mm ほどで、そこに複雑な格子状構造が再現されている。最後に各部の組立 / クリーニングを経て完成、Expedition に納品した。

現在、この「 Energy Canopy roof 」3Dプリントモデルはロンドン市内の Victoria & Albert 博物館( V & A )で今年後半まで展示されている。

ARRK Europe は日本のアーク株式会社( ARRK CORPORATION )の海外拠点の1つ。

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