2016年9月26日月曜日

ポーランドの宇宙開発スタートアップが来年にも3Dプリント製超小型衛星を打ち上げへ

ポーランド・ドルヌィ・シロンスク県発:宇宙開発スタートアップ SatRevolution S.A. はポーランド初となる3Dプリント製超小型商用衛星「スヴィアトヴィト Światowid 」を来年中にも打ち上げる計画だ。

同社によると公的機関から私企業、さらには天体物理学を探求する個人まで、非常に幅広い顧客を対象として事業展開を図るという。ポーランド最大の研究開発機関ヴロツワフ研究センター EIT+ は同社の計画に対し研究設備を提供するなど全面的に支援する方針だ。

計画によれば、打ち上げる超小型衛星は外寸 10 x 10 x 20 cm の立方体型( キューブサット )で、震動、宇宙線、150 - 300 °C の急激な温度変化にも耐えられる特殊アルミ合金製。開発担当者によると、最大限の軽量化と最適な形状の双方を実現するには、3Dプリントが最も適した製造方法だとしている。衛星には電源の太陽電池パネルの他、格納式アームカメラ、軌道安定用の特殊な磁気平衡装置なども搭載する。

同社は今年 6 月に設立されたばかり。この野心的な3Dプリント超小型衛星打ち上げ計画には政府と複数の提携企業の支援も受けている。打ち上げ時期は 2017 年第 3 四半期頃で、衛星放出には超小型衛星用放出機構 P-POD システムを新たに開発して使用する予定だ。

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2016年9月24日土曜日

Valplast に正式対応した新型歯科用3Dプリンター「 r.Pod® 」

米国ニューヨーク州発:歯科関連製品製造大手 Valplast International Corp. はこのほど、3Dプリンターベンダー Arfona LLC と共同開発した義歯製造用3Dプリンター「 r.Pod® 」を発表した。

従来、義歯製造向け製品は DLP / SLA 方式が主流だったが、「 r.Pod® 」は FFF / FDM 方式を採用。FFF / FDM は X,Y 軸解像度の限界などから精巧な仕上がりが要求される歯科技工用途では利用されてこなかったが、DLP / SLA 方式では歯科模型や試作品しか作れないという欠点があった。両社によると、「 r.Pod® 」は最終製品としての部分義歯、印象トレイ、人工歯肉が製造可能な FFF / FDM 3Dプリンターとしている。

「 r.Pod 」は多素材 / マルチカラー対応のデュアルエクストルーダー製品。フィラメントは ABS / PLA の他、NinjaFlextaulman3D 全製品と、FFF / FDM 方式としては唯一 Valplast International のナイロン樹脂ベースの金属不使用部分義歯素材 Valplast® に正式対応した。3Dプリントソフトには Simplify3D を採用し、単一エクストルーダー機種も用意する。

「 r.Pod 」デスクトップ3Dプリンター初期出荷は年末までの予定。販売は Arfona / Valplast の先行予約直販のみで、小売価格は 4,999 USD。12 月以降に順次出荷する。

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2016年9月22日木曜日

MakerBot が新型デスクトップ3Dプリンター 2 製品と新サービスを発表

米国発:MakerBot は現地時間 9 月 20 日、新型デスクトップ3Dプリンター「 Replicator+ 」と「 Replicator Mini+ 」を発表した。同社が新製品ラインアップを発表するのは CES 2014 以来約 2 年ぶり。

「 Replicator+ 」は同社初のプロフェッショナル向け製品で、「 Replicator Mini+ 」は主に教育機関向けに新規開発されたもの。両製品共に全面的に設計を見直し、従来製品より造形可能エリアの大型化と高速化および静音化を図り、高硬度 / 高強度 PLA フィラメント対応でより幅広い製作用途に使用できるとしている。同社幹部によると「 Replicator+ 」のプリント速度は従来比 30 % の高速化、27 % の静音化を、「 Replicator Mini+ 」は「 Replicator Mini Compact 」より 10 % の高速化と 58 % の静音化をそれぞれ実現しているという。「 Replicator+ 」の販売価格は来月末まで期間限定割引を適用すれば 1,999 USD、「 Replicator Mini+ 」が最低価格 999 USD から( 10 月末から 1,299 USD ~ )。

また同時に、同社は教育機関向けオンラインコミュニティーThingiverse Education も開始した。これは3Dプリンターを活用した授業を行う教師間の情報交換プラットフォームという位置付けで、既に参加者がアップした 100 以上の授業プランが公開され、幼稚園から高学年向け、習熟度に応じ最適なプランを選択できるようになっている。

この他、同社は新ソフトウェア「 MakerBot Print 」も公開した。20 の異なる ネイティブ CAD ファイルから自動で最適なスライスデータを作成してプリンターに出力する機能により、stl ファイルなしでプリントアウトできるためプリント作業が大幅に簡略化できるとしている。プリント完成品を予測してアニメーション表示するシミュレーション作成機能も搭載し、3Dデータの問題点を事前に発見しやすくなっている。同社モバイルアプリ経由で使用すれば複数の同社製3Dプリンターのモニタリングや遠隔操作も可能。




2016年9月20日火曜日

TPU 素材を3Dプリントで編み上げる新技術「 AMIMONO 」

日本発:ブランドアパレル作成サービスを提供する STARted を運営する Bandersnatch はこのほど、熱可塑性ポリウレタン樹脂( TPU )から作成可能な3Dプリントニット製品の試作品「 AMIMONO 」を発表した。

「 AMIMONO 」は、3Dデザインの Free-D と同社が共同開発した新技術で、各パーツを3Dプリントするのではなく、鎖帷子のように3Dプリンター自身が TPU フィラメントを編糸のように組み合わせ、アルゴリズミックデザインという手法によりニット製品を作成する。TPU 素材を編糸のように扱ってニットの質感を実現することが難点だったが、これを克服して仕上がった試作品は従来の3Dプリントアパレルでは得られなかった着心地のよさと伸縮性を実現し、折り畳むことさえできる。


2016年9月18日日曜日

投資銀行が Ultimaker に 1,500 万ユーロを融資

オランダ・ヘルダーラント州発:Ultimaker, B.V. は現地時間 9 月 14 日、投資銀行 The European Investment Bank ( EIB、本店ルクセンブルク )から総額 1,500 万ユーロの融資契約を交わしたと発表した。同社はこの融資金を研究開発および新製品展開に振り向け、世界市場規模拡張の足掛かりとする方針だ。

また同社は EIB と連携して EU 全域の学校を対象に同社デスクトップ3Dプリンター「 Ultimaker 2+ 」50 台と消耗品 1 年分のセットを寄贈し、教師向けテュートリアル講座も無償提供することも合わせて明らかにした。

Ultimaker は現在、デスクトップ3Dプリンター部門シェア 25 %、昨年度の売上高は 3,000 万ユーロと、世界屈指の3Dプリンターベンダーとしての地位を確立している。

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2016年9月16日金曜日

XYZPrinting、da Vinci シリーズ最小最安モデル「 da Vinci Mini 」を発表

台湾発:XYZPrinting Inc. は現地時間 9 月 15 日、教育機関および一般消費者を対象とした新型デスクトップ3Dプリンター「 da Vinci Mini 」を発表した。

同製品は「 CES 2016 」で出品されていたもので、販売価格は「 da Vinci 」シリーズ最安の 289. 95 米ドル( 直販価格 )。

価格だけでなく、筐体サイズも昨年リリースした da Vinci Jr. 1.0 を 30 % 下回る同社製品最小クラスの 550 x 390 x 470 mm。モデリングは専用ソフト XYZMaker で行う。対応フィラメント素材は BPA フリーの PLA のみ。

da Vinci Mini の主な仕様

3Dプリント技術:FFF / FDM 
本体外寸( W x D x H, mm ): 400 x 336 x 362
本体重量( kg ):10
最大造形サイズ( W x D x H, mm ):15 x 15 x 15
解像度:最大 0.1 mm( 100 microns ) / 標準 0.2 mm( 200 microns ) / 高速 0.3 mm( 300 microns ) / ウルトラスピード 0.4 mm( 400 microns )
プリントヘッド:シングルヘッド、ノズル径 Φ =0.4 mm
フィラメント:Φ =1.75 mm PLA
接続:USB 2.0、WiFi( 802.11 b / g / n )
ソフトウェア:XYZware
ファイル形式:.stl / XYZ Format ( .3w ) / 3mf
サポート OS :Windows 7 以上 / Mac OSX 10.8 以上
ハードウェア要件:X86 32/64-bit compatible PCs with 4GB+ DRAM
X86 64-bit compatible Macs with 4GB+ DRAM


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2016年9月12日月曜日

オール3Dプリントの 35 mm 判カメラ「 SLO 」

米国ニュージャージー州発:3Dデザイナー Amos Dudley 氏はレンズ、ボディ、シャッター、絞りなど全てのパーツを3Dプリントで製作したフィルムカメラ「 SLO( Single Lens Objective )」を自作、このほど公開した。3Dデータはオープンソースで、誰でも自作 / 改作ができる。

SLO は一般的な 35 mm 判で、全パーツは FoamLabs, Inc. 製 SLA 3Dプリンター「 Foam 2 」を使用してプリントアウトした( 許容交差 +- 0.075 mm、クリアランス 0.25 mm )。各パーツは加工しやすさを考慮したモジュラー式。同氏によれば最も困難だったのがやはりレンズで、ABS 素材のような炎研磨のできない樹脂でできているため、製作後は#12000 番マイクロメッシュペーパーによる手作業での研磨に数時間を要した。それでもなおレンズ面には微小な凹凸が残っていたため、商用レンズの研磨に使用するのと同じ原理の装置も自作して研磨スラリーを介して磨き、ようやく完成させた。

シャッター設計に際して、同氏は3Dプリントというデジタルマニュファクチュアツールを使用しつつも、200 年前の 19 世紀後半に考案されたシャッター板機構に立ち返っていた。試行錯誤の末、シャッター板機構はトグル連動ギア方式を、絞りは最小限の空間で最大口径を得るため、 Blender による3Dアニメーションで最適な機構を案出した。ただし速度調節機能はないため、シャッタースピードは「2 つのボタンを押し下げるときの指の速さ」で決める。回転式の絞りはレンズのすぐ背面に位置し、フィルムスプールも手動式。

Dudley 氏は完成した SLO にフィルム(   Fujicolor Superia 400 )を装填し、写真家の Rob Chron 氏と共にテスト撮影を行った。現像した結果、SLO で撮影された画像は四隅に「ケラレ」や遮光不良によるフレアなどがあるものの、ピンホールカメラのような独特な風合いの映像作品として記録されていた。


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2016年9月11日日曜日

豪の鉱物資源会社が米 ROBO 3D を完全子会社化へ

オーストラリア発:鉱物資源探査の Falcon Minerals Ltd. ( ASX:FCN )は現地時間 9 月 8 日、米国3Dプリンターベンダー ROBO 3D, Inc. ( 本社カリフォルニア州パロアルト市 )全資本を保有し、完全子会社化すると発表した。Robo3D の債務は継承しない。

Falcon Minerals は前年末、ROBO 3D の株式取得について、投資機関  Albion 3D Investments Pty Ltd 経由で最初の取り決めを締結し、同社取得資本割合を 51 % としていた。Albion 3D は ROBO 3D 取得に向け、総額 250万豪ドル の資本投下を行ってきた。親会社になる Falcon Minerals によると、正式に子会社化した後の社名を ROBO 3D Technologies Limited に変更する。

ROBO 3D は 2012 年に創業したコンシューマー向けデスクトップ3Dプリンターの製造 / 販売スタートアップ。創業以来、同社は堅調な売上を維持し、昨年度の収益は 460 万米ドルを計上している。その主要な収益源は同社オンライン販売および Amazon での販売となっている。今後も3Dプリンター市場の成長が見込まれることから、Falcon は最低 400 万豪ドルの資本調達を実施し、手持ちの 200 万豪ドルと合わせて 600 万豪ドルの資本増強を行う方針だ。

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2016年9月10日土曜日

小児の先天性心疾患治療に3プリント心臓モデルを導入

シンガポール発:政府系専門病院 KK 婦人 / 小児病院心臓外科センターはこのほど3Dプリントによる 3 次元心臓モデルを導入し、小児の複雑な先天性疾患治療への利用を本格化させる。

導入当初は実際の患者の症例を示す 8 つの 3 次元心臓モデルを作成した。今後はこうした3次元モデルから外科手術の事前計画を立てる。同センターでは年間約 200 の心臓外科手術を行っている。

同センター外科医によると、従来の平面画像を使用した手術の場合は相応のリスクが伴っていたが、3 次元心臓モデルは実際の患者の心臓の MRI 画像から作成するため胸腔が成人と比べて大変小さい小児患者の場合は特に威力を発揮するとしている。

今回導入した3Dプリントモデル作成には 2,000 - 3,000 ドルほどの費用がかかり、外科手術の事前計画の他に若い執刀医の研修用としても活用される。 同様の3Dプリントモデル導入は英米で先行している。

同センター心臓外科コンサルタントの 1 人、中尾雅一博士は次のように述べている。「小児の非常に小さな心臓の外科手術には多くの困難が伴う。手術を成功させ、最善な術後も保証するには、綿密な事前計画立案が絶対不可欠だ」。

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2016年9月7日水曜日

GE が欧州の産業向け AM ベンダー 2 社を 14 億ドルで買収へ

米国コネチカット州発: General Electric Company( NYSE:GE )は現地時間 9 月 6 日、欧州の3Dプリント企業 2 社を買収すると発表した。買収総額は 14 億米ドルと見込まれている。

買収したのはスウェーデンの 3次元電子ビーム積層造形装置( EBM )製造の Arcam AB と、独の SLM 3Dプリンター製造の SLM Solutions GmbH。同社によると、2 社の買収が成立すれば、同社3Dプリント部門収益は 2020 年までに 10 億ドル規模にまで拡大する見通しだという。

Arcam AB の買収は GE Sweden Holdings AB が行い、1 株当たり 285 SEK( 約 40 USD )、合計 58. 6 億スウェーデンクローネ( 約 6億 8,500 万米ドル )を提示した。SLM 買収額は 6 億 8,300 万ユーロ。

[付記:日本国内での 2社製品問い合わせ先について、Arcam が HTL Co. Japan Ltd.、SLM Solutions が 愛知産業株式会社  Aichi Sangyo Co ., Ltd. ]

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2016年9月5日月曜日

Ultimaker がハイエンド仕様フィラメント 4 種を発表

オランダ・ヘルダーラント州発:Ultimaker B.V. は現地時間 9 月 1 日、同社デスクトップ3Dプリンター「 Ultimaker 2 」用新フィラメント 4 種を発表した。

同社によると、今回新たにラインアップに追加したフィラメントは生産現場などの業務用に最適化した仕様。製品内訳は1). 化学的耐性に優れた共ポリエステルの「 Ultimaker CPE+ ( 耐熱 100 °C )」、2). ポリカーボネイトの「 Ultimaker PC ( 耐熱 110 °C )」、3). 耐摩耗性に優れたポリアミドの「 Ultimaker Nylon 」、4). 最大伸長率 580 %、Shore-A 硬度 95 熱可塑性ポリウレタンの「 Ultimaker TPU 95A 」の 4 種。

従来、こうしたフィラメント素材はハイエンドな高価格帯3Dプリンター向けであり、同社ではこの分野における需要増に応えるとともに、耐久性や強度に優れた3Dプリント製品を求める顧客にも比較的廉価で入手できるとしている。

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2016年9月3日土曜日

3Dバイオプリントで骨を再生する新技術を開発

アイルランド発:ダブリン大学トリニティカレッジおよび 先端素材 / 生体工学研究所( AMBER )はこのほど、骨組織を再生可能な新しいバイオプリント技術を開発した。同チームの論文は学術誌 Advanced Healthcare Materials 電子版で公開されている。

同大学教授 Daniel Kelly 氏率いる開発チームによると、バイオ素材と幹細胞の複合素材による3Dプリントで発達途上の軟骨組織テンプレートを作成し、失われた部位と同じ形状の骨を再生するもので、組織移植後は血管が成長し、完全に機能する骨組織になるという。

同チームによると、頭蓋、顎、脊柱といった部位や、腰や膝の整形外科手術といった分野に応用できるとし、従来の自家骨移植、あるいは第三者のドナーから骨組織の一部を採取して移植する手法の代替手段として期待を寄せる。また新方式では従来の移植法に付き物だった合併症のリスクもない。

全世界では毎年、200 万人以上もの人が腫瘍摘出、感染症、外傷、先天性奇形などの理由で骨移植が必要と言われている。

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2016年9月2日金曜日

3Dプリントで珊瑚礁再生の試み

オランダ領カリブ発:珊瑚礁保護活動を行っている NPO の Fabien Cousteau Ocean Learning Center( 米ニューヨーク市 )は小アンティル諸島の 1 つボネール島のリゾート Harbour Village Beach Club と共同で、3Dプリントで製作した人工珊瑚を活用した珊瑚再生プロジェクトを始動させる。

同 NPO 代表を務める Fabien Cousteau 氏は、高名な海洋学者だった Jacques Cousteau 氏の孫。同氏は Harbour Village の環境アンバサダーも務める。

両者によると、3Dプリントによる人工珊瑚礁は天然珊瑚とほぼ同じ外観と質感、化学組成を持ち、珊瑚ポリプの足掛かりとして最適だという。また3Dプリント人工珊瑚礁ならば従来ほど労働集約的手法に頼らず、短期間で大きな効果を発揮できるというメリットも挙げている。島のどの水域の珊瑚礁から再生プロジェクトを開始するかについては、現時点ではまだ決まっていないが、Harbour Village 内に Ocean Learning Center 拠点を設立し、そこで人工珊瑚を3Dプリントする。またリゾート滞在客向け環境教育プログラムも同時に実施する計画だ。

Cousteau 氏によると、珊瑚礁はリーフライフと呼ばれる生物生息圏の 25 % を占め、世界的経済発展への波及効果は 7 兆ドルにも迫る規模だという。同様の3Dプリント人工珊瑚礁による珊瑚再生プロジェクトは 2012 年にバーレーン沖で行われており、今年後半にはモナコ沖でも実施される計画だ。

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