アルゼンチン発: アルゼンチン国立科学技術研究会議( CONICET )および ラプラタ国立大学 の研究者グループは現在、4軸構成の3Dバイオプリントシステムの開発に取り組む。
同グループによると、開発中の新型3Dバイオプリンターでは従来の FDM 型3Dプリンターでは造形不可能だったチューブ状や螺旋状メッシュ構造などの複雑な形状物の作成が可能で、交換可能ノズル式インジェクターを使用してバイオポリマー素材によるチューブ状 / 螺旋状メッシュ構造物の作成を目標にしている。
バイオプリンターに追加された第4の軸は回転式で、時計回り / 反時計回りの切り替えができ、ここにバイオ素材が滴下されて螺旋形状を生成する。開発で試用したのはアルギン酸塩、ペクチン、キトサン、ヒドロゲルを含むバイオポリマー混合素材。同グループは、最終的にはこの新技術によって、注意深くメッシュ生成された生体適合性素材の足場材内部で細胞成長を促進させることができればよい、と話す。
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イタリア・ラツィオ州発: ローマ歌劇場は今年秋の主催公演で、世界で初めてオール3Dプリントの舞台装置で上演する運びとなった。
オール3Dプリントの舞台セットで上演されるのは 19 世紀フランスの作曲家フランソワ・オーベール( Daniel-François-Esprit Auber )の『フラ・ディアボロ[ 初演 1830 ]』。3Dプリント舞台セット制作を請け負ったのは超大型デルタ型3Dプリンター製造で知られる WASP ( 本社:エミリア=ロマーニャ州ラヴェンナ県マッサ・ロンバルダ )。
同社によると、オール3Dプリント舞台セットは223 パーツで構成された「ダリの絵に出てくるような」ゆがんだ歴史的建造物 2 棟からなり、3Dプリンター5基を使用して 3 か月かけて完成させたという。
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米国発: ラトガース大学ニューブランズウィック校とジョージア工科大学の研究者グループはこのほど、癌細胞検知技術を応用した新たな3Dプリンターのサイバー攻撃対処技法を考案したと発表 した。
この新対処法は現在カナダのバンクーバー市内で開催中のサイバーセキュリティカンファレンス「第 26 回 USENIX セキュリティ シンポジウム 」で発表された。同グループの一員でラトガース大学ニューブランズウィック校電気工学 / コンピューターサイエンス学部助教授 Saman Aliari Zonouz 氏によると、産業界では多くの場合、高額な積層造形設備を自前で導入するより専門業者に外注するケースが多く、万が一納入された製品に欠陥が紛れ込んでいてもそれを発見することはほぼ不可能で、またセキュリティ対策は必須だがそれでもサイバー攻撃を完全に防ぐことは難しいと指摘する。
同グループは3Dプリンター複数台を実際に購入し、ファームウェアをクラックして欠陥製品を出力することができることや、ドローン用プロペラに欠陥を仕込ませてクラッシュさせることも実証している。
同グループの対処法は、センサーでエクストルーダーの動作を検出し、同時に作動音を記録して、プリント工程が設計通りか監視する。そして金のナノ粒子の造影剤を混入したフィラメントと3Dファイルを外注先に送り、外注先から返送された3Dプリント製品を高精度スキャナーにかけて検査するというもので、MRI や CT スキャンで癌や腫瘍を映像化するのと原理的に同じ手法だ。
Zonouz 氏は、次回は可能な限り考えられる3Dプリンター攻撃法を試して、案出した防御策を企業側に開示する計画だと述べている。
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英国ケンブリッジシャー州発: 調査会社 IDTechEx Ltd はこのほど、3Dプリント市場関連の最新報告「 3D Printing Metals 2018-2028 Technology and Market Analysis 」で、3Dプリント用金属市場規模が 2028 年には 120 億ドル相当に達するとする予想と分析を公表した。
それによると、金属3Dプリンター市場において最も占有率が高いのは直接金属レーザー焼結方式( DMLS )で、2016 年末時点の総導入ベースで市場占有率が 84 % と首位。以下、電子ビーム積層( EBM )、指向性エネルギー堆積( DED )、バインダージェッティング( BJ )の主要 4 技術が断片的に上位を占めた。
同報告はまた、金属3Dプリンターベンダースタートアップの筆頭格として Desktop Metal を挙げ、同社が 2015 年以降に調達した資本総額は、金属3Dプリンターベンダー業界全体が調達した資本総額の半分近くにまで達したという。
同報告は、2016 年時点では商用化前の段階に留まってはいるものの、液状金属堆積技術、金属 + ポリマーフィラメント押出方式および電気めっきといった次世代金属3Dプリント技術の可能性についても分析している。
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米国ワシントン州発: Microsoft は現地時間 8 月 3 日、同社3Dモデル共有プラットフォーム「 Remix 3D 」に新機能を追加するアップデートを実施した。
今回のアップデートで同サイトに追加実装されたのは「パーツ」と「リミックス」タブ。「パーツ」タブでは表示されている3Dモデルを構成する各パーツを独立して表示し、欲しいパーツのみダウンロードしたい時に便利な機能となっている。
「リミックス」タブは表示されているオリジナル3Dモデルに共有コミュニティメンバーがどのように再利用 / 追加 / 改変したかが一覧表示され、オリジナル作成者をはじめとする全てのユーザー名がクレジット表示される。「 Remix 3D 」サイトは同社の「 Windows 10 Creators Update 」で実装された「ペイント3D 」とシームレスに利用できる。
一方、同社はスマートフォンのカメラで撮影した画像をスキャンして3Dモデルを自動生成するモバイルアプリ開発を既に公表している。このアプリは Windows 10 Mobile の他 iPhone などマルチプラットフォームに対応予定だが、具体的なリリース時期は現時点では明らかにされていない。
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米国カリフォルニア州発: カリフォルニア大学サンディエゴ校( UCSD )の研究者グループはこのほど、9 - 16 歳の成長期の子供に多い股関節形成不全手術に3Dプリントモデルを使用した場合とそうでない場合との比較検証実験を行い、3Dプリントモデル使用で手術時間が約 25 % 短縮されることが分かったと機関誌 Journal of Children's Orthopaedics に発表 した。
実験を行ったのは Vidyadhar Upasani 博士ら同大学の生物工学研究者および Rady 子供病院の小児科医らのグループ。Upasani 博士らは 10 名の患者を二手に分け、5 人には3Dプリントモデルを使用した外科手術計画を立て、残り 5 人には従来通りの施術計画を立てた。またそれとは別に 2 名の外科医に 5 人の患者を従来通りの施術計画を立てさせた。その結果、3Dモデル使用の場合は従来手法を用いた 2 つの被験者群より 38 - 45 分手術時間が短縮され、これは手術 1回当たりの費用が最低でも約 2,700 米ドル軽減されることになるという。
大腿骨頭滑り症( SCFE )は毎年、米国の 11 歳の子供うち約 10 万人が罹患すると言われ、特に肥満児の増加に伴い年々その数は増加傾向にある。従来方法では執刀個所を様々な角度で X 線撮影して大腿骨末端部の矯正術を決定していたが、手術中の患部は直接目視できないため施術中も X 線撮影が必要で、 X 線被曝の問題がある。加えて時間がかかるうえ、患者に対してどのような手術になるか事前説明可能な、あるいは執刀医の確認のための物理模型もない。
3Dプリンター導入費用は約 2,200 米ドルだが、一度導入すれば手術 1 回につき約 10 ドルしかかからない。Upasani 博士によると検証結果に非常に気をよくした Rady 子供病院では既に3Dプリンター導入済みで、同博士によれば「3Dプリントモデルはとても役に立っており、今ではこれなくして手術計画は立てられない」。
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